オフィスのWeb会議の声漏れ・音漏れ対策|手段別の効果と費用の比べ方

Web会議が日常になって、オフィスで最も多く聞かれる不満が「周りの声が入る/自分の声が周りに漏れる」です。対策の手段は複数あり、費用も効果も大きく違います。このページでは手段別に何がどこまで効くのかを整理し、比較の順番をご案内します。

まず、問題を2つに分ける

問題 困っている人 必要な対策
自分の声が周囲に漏れる 周囲の人(集中を妨げられる)/話している本人(機密の話ができない) 声を「発生源で囲う」=空間を分ける
周囲の音が会議に入る 話している本人/通話相手 マイクの指向性・ノイズ抑制、または空間を分ける

この2つを分けずに検討すると、手段選びを間違えます。後者(周囲の音が入る)だけならヘッドセットとソフト側のノイズ抑制で相当改善しますが、前者(自分の声が漏れる)はマイクでは解決しません。声そのものは空気中に出ていくためです。

手段別の一覧:どこまで効くか

手段 自分の声の漏れ 周囲の音の混入 費用感 注意点
ノイズキャンセリング付きヘッドセット ×(変わらない) ◎ 数千円〜3万円 最も安く効果が出るが、声漏れは解決しない
会議ソフトのノイズ抑制機能 × ○ 0円 相手側の聞こえは改善。周囲への迷惑は変わらない
吸音パネル・卓上パーテーション △ △ 数千円〜数万円 反射音の低減が主。声の直進は遮れない
マスキング音(サウンドマスキング) △(内容は聞き取りにくくなる) × 数十万円〜 「聞こえるが内容が分からない」状態を作る手段。静かにはならない
ワークブース(個室ブース) ◎ ◎ 数十万円〜/1台 設置場所・天井高・搬入経路の確認が必要
会議室の増設(内装工事) ◎ ◎ 数百万円規模になりやすい 建物への造作。原状回復義務が生じ、移転時に持ち出せない
近隣の貸会議室・コワーキング ◎ ◎ 1回あたり数百円〜 移動時間が発生。突発の会議に対応できない

検討の順番

費用が小さい順に試すのが基本ですが、解決しない手段を重ねても解決しません。次の順で切り分けてください。

  1. 困っているのはどちらかを確認する。「周囲の音が入る」だけなら、ヘッドセットとソフト側の設定で終わることがあります
  2. 「声が漏れる」が問題なら、空間を分ける手段に絞る。吸音パネルやマスキングは、この問題の解決策ではありません
  3. 頻度と人数を数える。1〜2名のWeb会議が週に何件あるかを数え、その多くが4〜8名用の会議室を占有しているなら、ブースの方が安く済む可能性が高くなります
  4. 常設か一時利用かを決める。数か月ならレンタル、長期ならブースの購入か会議室増設(購入とレンタルの比較)
  5. 実物で確認する。遮音の程度はカタログの数値だけでは判断できません。必ず実機で確認してください

ワークブースを選ぶときに確認すべきこと

「防音ブース」と書かれた製品でも、完全に音を遮断する製品はほぼありません。期待値がずれると、導入後に最も後悔します。次の点をご確認ください。

確認項目 見るべきポイント
遮音の程度 数値(dB)が公表されていても、測定条件により実感は変わります。実機で自分の声を出して確認するのが確実です
天井の形式 密閉型は遮音に有利ですが、消防設備の追加が必要になる場合があります。開口式は消防要件が軽くなる一方、上方向の遮音は下がります
設置に必要な天井高 密閉型は高さ2,300mm級が多く、天井高2,500mm未満のフロアや梁・ダクトのある区画では設置できないことがあります
換気・ファンの音 ファンの動作音自体が会議に入ることがあります。実機で確認してください
電気工事の有無 工事が必要な製品は、ビル管理会社との調整と工事費が発生します
設置場所 執務室の中心に置くと、ブースの外に漏れる音が周囲に影響します。壁際・通路脇など、周囲への影響が小さい位置を選んでください

天然木ワークブースWOOBOの内部。国産杉の無垢材で硬い反射面が少なく、内部の反響が抑えられます

WOOBOの場合

項目 内容
遮音 防音仕様ですが、完全防音ではありません。数値の公表も行っておりません。実機でのご確認をおすすめしています
天井 標準は開口式。消防設備の追加は原則不要(建物により要確認)。遮音を高めたい場合はファン付き天井板などのオプションをご相談ください
高さ 1,830mm。天井高が低いフロア、梁・ダクトのある区画にも設置しやすい寸法です
素材 国産杉の無垢材。硬い反射面が少ないため、内部の反響が抑えられます
電気工事 不要(既存コンセント1口)
価格 605,000円(税込)※送料・組立設置費別
納期 約1か月(受注生産)

「どこまで静かになるのか」は文章では伝えられません。東京・豊洲のショールームで、実際に扉を閉めて声を出してご確認いただけます(無料・予約制)。

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音漏れを数値で見る:デシベルの読み方と、法令が扱っていない範囲

ここまでは手段の比較でしたが、社内で説明するときは数値が要ります。まず、身の回りの音がどのくらいのレベルなのかを押さえておきます。

目安 そのくらいの場所
30dB 図書館の館内、博物館の館内
50dB 戸建住宅地(夜間)
60dB ホテルの室内、書店の店内
70dB 銀行の窓口周辺、バスの車内
80dB 地下鉄の車内、主要幹線道路周辺(昼間)

環境省が公開している「騒音の目安」(全国環境研協議会 騒音小委員会)からの抜粋です[1]。この表に事務室は載っていません。会議の声が問題になるのは、音量そのものが大きいからではなく、周囲が静かなほど話の内容まで聞き取れてしまうからです。そのため対策の目標は「音を消すこと」ではなく「内容が分からない程度まで下げること」になります。

デシベルは対数。3dB下がるとエネルギーは半分になる

デシベルは音のエネルギーを対数で表した単位です。3dB下がればエネルギーはちょうど半分、10dB下がれば10分の1になります。逆に、同じ大きさの音源が2つに増えても合計は3dBしか増えません。「マイナス10dB」と「マイナス20dB」の製品では、残る音のエネルギーが10倍違うことになります。

ただし遮音の数値は測定条件で大きく変わります。扉を閉めた状態か、どの周波数帯か、測定距離は何メートルか。条件が書かれていない数値は比較に使えません。実機を見るときは、同じ部屋・同じ音源で聞き比べるのが確実です。

法令のデシベル基準は、会議の話し声を対象にしていない

数値が出てくる法令は2つありますが、どちらも執務中の会話を想定したものではありません。

基準 数値 何のための基準か
騒音に係る環境基準(環境基本法) 住居系のA・B類型で昼間55dB以下、夜間45dB以下 屋外の地域環境。オフィスの室内には適用されない
騒音障害防止のためのガイドライン(令和5年4月改訂) 85dB以上90dB未満で第2管理区分、90dB以上で第3管理区分 難聴の予防。聴覚保護具の使用などを求めるもの

環境基準は屋外の地域に当てはめる基準で、事務室の中の音漏れを判定する物差しではありません[2]。騒音障害防止のためのガイドラインは聴力を守るための基準で、会議の話し声はこの水準に届きません[3]。事務所衛生基準規則にも騒音の条文(第11条・第12条)はありますが、第12条は事務用機器を5台以上集中して使う場合の規定で、話し声を直接の対象にしていません[4]。条文の整理はワークブースと事務所衛生基準規則にまとめています。

「音漏れを放置すると法令違反になる」という説明には、話し声に関するかぎり条文上の根拠がありません。ブースや吸音材を入れる理由は法令対応ではなく、会話の内容が周囲に伝わらないようにすることです。稟議では、この整理のほうが通りやすくなります。

会議室の音漏れを止めたいとき

「会議室で話している内容が廊下や隣席に聞こえる」というご相談は多くいただきます。既存の会議室で音が漏れる経路は、壁そのものよりも扉のすき間・間仕切りの天井裏・給排気口に集中します。順番に確認すると、工事をせずに改善できる範囲が見えてきます。

漏れる経路 確認方法 対策の目安
扉のすき間 扉を閉めて外から見て、光が漏れていないか 気密パッキン・下端のドラフトストッパー(数千円〜/工事不要)
間仕切りの天井裏 間仕切りが天井パネルで止まっていないか 天井裏の遮音材充填(工事)
給排気口・配線の貫通部 ダクトや配線の穴に処理があるか 消音ボックス・貫通部のシール(工事)
壁の構造 壁を叩いて中空音がしないか 石膏ボードの増し張り(工事)

安価に効くのは扉のすき間で、ここだけで体感が変わる例もあります。一方、天井裏まで手を入れる改修は建物への造作となるため原状回復義務が生じ、移転時に持ち出せません。悩みの中心が1〜2名の通話・Web会議であれば、会議室を改修するより据置型のブースを足したほうが、総額と移転時の柔軟性の両面で有利になることが多くなります。判断材料は購入とレンタルの比較と勘定科目・耐用年数のページにまとめています。

通話の音漏れを防ぐ:席・機器・空間の順に見る

通話の音漏れは、費用の小さい順に試すのが失敗しにくい進め方です。

  1. 席と時間をずらす(0円)— 通話の多い方を壁側・端の席へ移し、通話が重なる時間帯を分散させる。
  2. 声量を下げられる機器にする(数千円〜)— 集音性の高いマイクに替えると小さい声でも相手に届くため、声量が自然に下がります。地味ですが効果があります。
  3. 周囲の暗騒音を上げる(数万円〜)— サウンドマスキングやBGMで、話の内容が判別されにくくなります。音量そのものは下がりません。
  4. 空間を分ける(数十万円〜)— 個室ブース。声が物理的に外へ出る量を減らせる唯一の手段です。

1〜3は「聞こえにくくする」対策、4は「出さない」対策です。機密性のある通話(人事・法務・与信・採用面談など)が含まれる場合、1〜3では要件を満たせないことが多く、最初から4を検討したほうが結果的に早くなります。

自宅・在宅勤務でフォンブースを使う場合

在宅勤務での「家族に聞かれる/生活音が相手に入る」という悩みにも同じ考え方が使えますが、オフィスとは前提が3点異なります。

確認項目 オフィス 自宅
搬入経路 荷捌き場・エレベーターがある 玄関・階段・廊下の幅が制約になりやすい
電源 OAフロアから分岐できる 既存コンセントからの引き回しになる
床の耐荷重 設計上ほぼ問題にならない 木造2階などは事前確認が必要

WOOBOは分割搬入・現地組立に対応しているため、一般的な住宅の開口部でも搬入できる場合があります。設置場所の寸法と搬入経路の確認が前提になりますので、自宅設置をご検討の場合は搬入・設置のページをご確認のうえ、間取りと合わせてご相談ください。天井高が低いお部屋は天井が低い場所への設置もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

Q. ヘッドセットを買えば声漏れは解決しますか。

A. 解決しません。ノイズキャンセリング付きヘッドセットは「周囲の音が通話相手に入る」問題には有効ですが、自分の声が周囲に漏れることは防げません。声は口から空気中に出ていくため、空間を分ける以外の解決策がありません。

Q. 吸音パネルや卓上パーテーションでは足りませんか。

A. 反射音を減らす効果はありますが、声の直進を遮る効果は限定的です。「周囲がうるさい」の緩和には役立ちますが、「自分の会議内容が聞かれてしまう」問題には不十分です。

Q. ワークブースなら完全に音は漏れませんか。

A. 完全に遮断できる製品はほとんどありません。WOOBOも防音仕様ですが完全防音ではありません。導入前に必ず実機でご確認いただき、社内資料にも「完全遮音ではない」と明記されることをおすすめしています。

Q. 会議室を増やすのと、ブースを置くのはどちらが安いですか。

A. 1〜2名のWeb会議が主な用途であれば、ブースの方が総額を抑えられることが多くなります。内装工事は建物への造作となり原状回復義務が生じ、移転時に持ち出せません。ブースは据置型のため移設・再利用が可能です。費用の考え方は勘定科目と耐用年数のページで、月あたりの負担として整理しています。

Q. サウンドマスキングとの違いは何ですか。

A. サウンドマスキングは、背景音を流して「聞こえるが内容が聞き取れない」状態をつくる手段です。静かになるわけではないため、集中環境をつくる目的には向きません。機密性の確保には有効な場面があります。

Q. ブースを置く場所はどこがよいですか。

A. 執務室の中心よりも、壁際・通路脇など周囲への影響が小さい位置をおすすめします。あわせて天井高・床の耐荷重・コンセント位置・搬入経路のご確認が必要です(導入前チェックリスト)。

Q. 既存の会議室の音漏れは、工事をせずに改善できますか。

A. 扉のすき間の処理(気密パッキン、下端のドラフトストッパー)だけでも体感が変わることがあり、これは工事にあたりません。一方で間仕切りの天井裏や給排気口が漏れの経路になっている場合は工事が必要で、原状回復義務も生じます。

Q. 通話の音漏れを、費用をかけずに減らす方法はありますか。

A. 通話の多い方を壁側・端の席に移し、通話が重なる時間帯を分散させるだけでも改善します。加えて集音性の高いマイクに替えると小さい声で通話できるため、声量が自然に下がります。ただし「内容を聞かれたくない」という要件は、これらでは満たせません。

Q. 自宅にワークブースを設置できますか。

A. 搬入経路の幅、設置場所の寸法、床の耐荷重(木造2階など)の3点が確認できれば設置できる場合があります。WOOBOは分割搬入・現地組立に対応しています。間取りをお知らせいただければ可否をお答えします。

出典(一次情報)

  1. 騒音の目安(全国環境研協議会 騒音小委員会/環境省)
  2. 騒音に係る環境基準について(環境省)
  3. 騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について(基発0420第2号・厚生労働省)
  4. 事務所衛生基準規則(e-Gov法令検索)

関連ページ

 

導入前後の実務:ワークブースと消防法(天井板オプションを付ける場合の注意点)/導入後の運用ルール(掲示文例つき)